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オーガニックマーケティング協議会って何?
[オーガニック]の実践・普及・促進を目的とした非営利の協議会。 らでぃっしゅぼーや、オーガニックスーパー、有機JAS認証機関などを設立してきた徳江倫明が推進役となって、全国の有機農家、各界の専門家が連携し、分析・調査・提言を行う、[オーガニック総合シンクタンク]です。
今回のコラム
2013年4月11日更新
あいうえオーガニック
2013年4月11日更新

今回のコラム

タネは買うもの?つくるもの?・・・自家採種のこと

早春から桜の季節あたりまで、私たちの目を楽しませてくれた鮮やかな菜の花たち。畑では同じアブラナ科の野菜として、ブロッコリーやキャベツ、ハクサイなども、なんと花ざかりです。これらは、冬の収穫の取り残しに“とう”が立って、そこから芽生える花たちで、遠くからは同じに見えても、よく見るとそれぞれに違って、面白いものです。
さて、菜の花は、そのまま畑におけば、受粉して実を結ぶという、植物ほんらいの一生を終えることができます。そうすれば、タネを採ってふたたびまいて、という循環も可能です。

ところが、タネが実るまでの間は畑が空かず、別の野菜を植えることができません。実ったタネを乾燥、選別するのも大きな手間・・・。ということで、普通の畑では、野菜たちは花が咲いた時点で見納め、どころか、収穫が済めば次の作付のため、さっさと片付けられていきます。
こうして、ほとんどの農家は、種苗メーカーがつくった野菜のタネを購入します。メーカーの開発したタネは、揃いが良く、見た目もきれいで、量がたくさん穫れるなどの目標で改良が重ねられているので、一般的にはつくりやすく、失敗も少ないといわれます。量を多くつくることで、生産性を高めることもできます。

そのいっぽう、野菜に香りがなくなったとか、昔の味がする野菜が少なくなったと言われることがあります。地方で少量つくられてきた在来野菜や、伝統野菜をつくる人が減っているという話も聞きます。とあるお漬物屋さんは、白菜の漬かりが悪くて在来種にしたらよく漬かるようになったと言っていました。今の種はほとんど「F1」といわれる雑種一代交配で、そこから採取した種では同じ野菜を作ることができず、農家は毎年種を買い続けなくてはならなくなります。

近年、有機栽培の農家を中心に、自分でタネを採る「自家採種」の農家が増えています。長崎県の有機農家・岩崎政利さんは、自家採種のベテラン生産者です。著書『岩崎さんの種子採り家庭菜園』のなかで、〈野菜の個性はその野菜と一生つき合って初めてわかる〉〈これぞわたしが種子から育てた野菜!と自信を持って感じるようになる〉と話しています。
自家採種の野菜は、食べておいしいだけでなく、つくる人をも魅了する「いのち」の深遠さ、大切さを教えてくれるのかもしれません。家庭菜園で「在来野菜」や「自家採種」に挑戦してみるのもいいでしょう。

F1品種のように収穫期が揃っても食べきれませんが、在来種なら、揃わないことがかえってメリットに。選んで採れば、食べごろが長く続いて、おいしいし、ムダがありません。自家採種は、育てた野菜を全部収穫せずに少し採り残して、開花から結実までを見届けることから始めます。うまくいったらタネを採り、次の年にまいてみましょう。

あいうえオーガニック

たけのこ

桜の季節も過ぎ、緑の若葉がまぶしくなってくると、タケノコの季節到来です。山椒の若芽も萌え出て、木の芽合えのタケノコが旬。季節はなんと絶妙な配分をするものでしょうか。

産地は九州の3県(福岡、鹿児島、熊本)で全体の7割以上を出荷し、収穫の早いものでは前年の冬からの「早掘り」に始まって、モウソウチクが最も多く出荷される4月が旬の時季と言えるでしょう。その後、ハチクやマタケはもう4月中旬以降、ネマガリタケは5月中旬頃からになります。

旬の味わいの代表格とも言えるタケノコですが、消費の8割ほどは中国産のタケノコ。水煮タイプのものが年を通して消費されています。5年前には、国内の業者が中国産のタケノコ水煮を国産に偽装した事件や、冷凍餃子に農薬が混入した事件がありました。ネットで検索すると、今でも多くの消費者が安全性に不安を抱いているようすがわかります。にもかかわらず、中国産のタケノコは、国内産に比べて圧倒的に値段が安く、大手の量販店などでは水煮パックとして、安定した支持を得ているようです。また、業務用として外食チェーンなどで多く使われています。

これに対して、国産ものは全体の1割ほどで、そのほとんどは地元での消費や、旬の時季に限られます。生産量も少しずつ減っていて、竹の栽培が経済的に成り立たず管理を放棄した竹林が増えています。そのままにすると竹やぶ化して、周りの畑に竹の根が広がり、景観だけでなく、様々な害を及ぼします。

このように、農産物の輸入は、国内の農業や環境に影響を与えます。また、私たちが「食べる」ことは、生産者や環境を守ることにもつながっています。最近は有機栽培の国産たけのこも増えていますので、この時季だけの「旬」の味わいとして、ぜひ「ひと手間」かけてご賞味いただけたらと思います。