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オーガニックマーケティング協議会って何?
[オーガニック]の実践・普及・促進を目的とした非営利の協議会。 らでぃっしゅぼーや、オーガニックスーパー、有機JAS認証機関などを設立してきた徳江倫明が推進役となって、全国の有機農家、各界の専門家が連携し、分析・調査・提言を行う、[オーガニック総合シンクタンク]です。
今回のコラム
2014年3月13日更新
あいうえオーガニック
2014年3月13日更新

今回のコラム

森が海を育てる

南の海は、サンゴでできた白い砂のせいで、明るいエメラルド色に見えるのだそうです。これに対して北の海は深い緑色。海の中はコンブやワカメ、ホンダワラなどの海藻が生い茂る森のような様子になっています。この海藻の森は、ウニやサザエの食料になるだけでなく、ほかの多くの魚や、海に生きる小さな生き物たちが暮らし、産卵する“いのちのゆりかご”としての役割を果たしています。
ところが、この豊かな海の生態系に異変が発生しています。生い茂るはずのコンブやワカメなどの海藻が減ってしまい、代わりにサンゴモと呼ばれる、白っぽい石灰質の海藻が岩を覆ってしまう「磯焼け」という現象。近年、日本の沿岸で見られるようになっています。

海藻のいない白い海底を点々とするウニの身は、食べものが少ないので実入りがスカスカで商品になりません。小さな魚たちは生活の場、産卵の場を失います。大量の光合成による海中への酸素の供給も止まってしまうので、海全体の生態系への影響も計り知れません。
こうした海の環境の悪化は、海流の変化や、海岸の汚染などの直接の原因のほかに、陸の森の存在も大きいのではないかとの指摘もされています。

海と陸はどのように関係しているのでしょうか?宮城県の牡蠣の養殖家・畠山重篤(はたけやましげあつ)さんは、「森は海の恋人」運動を提唱している方です。牡蠣が育つ養分は海にあるのではなく、森が養分を生み出し、川を通じて海にもたらしていると考えて、気仙沼湾に注ぐ川の上流の山に、落葉して腐葉土をつくる広葉樹の植林を始めたのです。広葉樹の森の腐葉土の養分は、川から海に流れて海藻を育ててくれる。小さなプランクトンを育てて、おいしい牡蠣になってくれるのでした。
陸も海も別々には生きられない、恋人のように慕い合う関係。この気付きは世界中に大きな共感を呼んでいます。

あいうえオーガニック

わかめ

春、魚屋さんの店頭に、旬を告げる生わかめが並びます。海から採取したそのままの物で、この季節だけの限定品。見た感じはぬるっと全体に褐色がかっています。大ぶりで下ごしらえも面倒そうだし、あまり日持ちもしません。ということで敬遠されがちですが、塩蔵ものや乾燥したものとは味も香りも全くの別物。まさに春の味覚です。
わかめは日本近海の温帯の海に広く分布する一年生の海藻で、古くから食用として天然物が採取されてきました。今は市場に出回る90%が養殖で栽培されています。

わかめは旨味成分を多く含み、カロリーも低いので、ダイエットにも適しています。乾燥重量のなんと4割もの食物せんいを含んでいて、このうち水に溶けないセルロースは、腸の運動を活発にします。水溶性のせんいであるアルギン酸はわかめのぬめりの正体で、他の食物の塩分と結びつき、多く摂り過ぎた塩分を排出し、これにより血圧の上昇を抑えます。放射性のストロンチウムや、重金属として体内に蓄積されやすいカドミウムを体外に排出する働きも報告されていて、いわゆる「デトックス」効果が期待できる食品です。
デトックスとは、解毒を意味する"detoxification"から来た造語で、体内から毒素や老廃物などを取り除くという意味で使われるようになりました。有機農業では、土の中の悪い働きをする菌や虫を減らしてきれいにする作物をクリーニングクロップといいますが、大切な考え方のひとつになっています。

さて、春が旬の生ワカメは、新鮮さが命です。大ぶりの鍋に、水を1リットルあたり塩小さじ1の割合で沸騰させてわかめを投入。最初に茎を入れ5秒ほど、そして全体を投入10秒、みるみるうちにあの茶色い色が鮮やかな緑になったらザルにあけて水洗い。下処理は超カンタンです。これを食べやすい大きさに切ってそのままお刺身やおひたし、汁物、サラダに。きっと春の海の香りがぷーんとする1品になるでしょう。ぜひお試しください。