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オーガニックマーケティング協議会って何?
[オーガニック]の実践・普及・促進を目的とした非営利の協議会。 らでぃっしゅぼーや、オーガニックスーパー、有機JAS認証機関などを設立してきた徳江倫明が推進役となって、全国の有機農家、各界の専門家が連携し、分析・調査・提言を行う、[オーガニック総合シンクタンク]です。
今回のコラム
2015年4月16日更新
あいうえオーガニック
2014年10月23日更新

今回のコラム

お米づくりは知恵のかたまり

水温む春。田んぼは田植えまでの準備で大忙しです。約1万年前、中国湖南省のあたりがはじまりといわれる稲作の歴史は古く、日本でも縄文時代には栽培されていたという説もあります。お米づくりはただ種をまいて収穫するのではなく、種もみから苗を育てて水を張った田に植えるなどちょっと手が込んでいますが、段取りのひとつひとつには、農薬などなかった昔からの、先人たちの知恵が活かされています。

田植えの準備はまず荒起しといって、田んぼの土を耕します。この作業で冬の間に固くしまった土をほぐし、表面にある雑草のタネをすき込んで雑草を生えにくくします。また、田んぼの土手が壊れていないかよく点検し、水もれしないように土を塗る作業もこのときに行います。同時進行で、別のところに苗床をつくって種もみを選別し、タネを蒔いて田植えに使う苗作りもはじめています。お米作りは今も昔も苗からの田植えが主流ですが、まだ寒いうちから納屋やハウスを利用してひと足先に大きく丈夫に育てて、田んぼで雑草に負けないようにします。
田植えの直前には代かきです。イネは積算温度といって、1年を通した日々の気温の合計で生育期間が決まります。このことから、寒い地域では温度を少しでもかせぐため、雪解け水を池で温めて田んぼに通すなどの工夫をするところもあります。冒頭に水温む、と書きましたが、お米づくりにとっては、田んぼに水を引けるほどに暖かくなってきた、という意味でもあるのです。
代かきでは田んぼに水を入れ、土と水をよく混ぜながら平らにならします。ここでも雑草を念入りに取り除き、たとえ土にタネが潜んでいても、水を濁らせて光をしゃ断して、だめ押しで雑草を生えにくくします。そしていよいよの田植え。苗になったイネは、雑草に対してはだんぜん有利になりました。まだ芽も出ていない雑草はタネで土の中。その上はさらに水が張ってあるのですから。

さて、農薬を使って病気や雑草、害虫を防ぐ方法を化学的防除と呼びますが、田んぼでのお米づくりに古くから組み込まれているこれらの方法は物理的防除、環境的防除などと呼ばれます。このほかにも、水を引き込む田んぼは、毎年水が入れ換わるので常にミネラルや肥料成分が補給される、土がきれいに保たれるので連作ができるなど、良い点がたくさんあります。これにアイガモやコイを田んぼに放しておう盛な夏の雑草を抑えるなど、様々な新しい知恵も重なり、農薬に頼らないお米作りの技術は、農家の間で、技術者の間で日々磨かれています。
田植えまであと少し。今年も清らかでおいしいお米がたくさん育ちますように!

あいうえオーガニック

赤かぶ

都会の食卓ではあまり見かけない赤かぶも、山里に足を運ぶと、おみやげ屋さんではお漬物、宿では小鉢に姿をのぞかせてくれます。その鮮やかな赤は、目で楽しめて、口に運べばシャキッとした歯ごたえ、喉を通るジューシーな味わいにはふっとした土の香りを感じさせてくれます。まさにこの季節ならではの楽しさですね。
カブはアブラナの一種で、白菜やキャベツ、そしてお漬物に使われる野沢菜や高菜も同じかぶの仲間です。古くから親しまれてきた野菜のひとつで、赤かぶの起源は遠くアフガニスタンあたり。8世紀ごろに中国から日本に渡来したといわれています。

日本では、色も、味わいも、そして形も違う、約80種類の在来品種として日本各地の、主に山間部で定着しました。寒いところでも育ち、根も茎も全部が利用できるなどの利点から、古くから山の自給用作物として継承されてきたのです。もとの中国や欧米諸国にはこんなたくさんのバリエーションはないそうで、まさに日本の伝統野菜の代表格と言えるでしょう。
赤かぶにたくさん含まれる色素、アントシアニンは活性酸素を抑制し、根に含まれるアミラーゼは胸焼けや胃もたれの解消・予防に効果があるといわれます。葉は抗酸化作用のあるβカロテンやビタミンCのほか、カルシウムや鉄、葉酸なども含まれています。

少ない肥料、寒い場所でよく育つ赤かぶは、土と気候の違う平地で育てても、山でのようにおいしくは育たないそうです。手に入ったらぜひお試しいただきたいのが甘酢漬け。作り方はカンタンです。
よく洗いスライスした赤かぶを塩で下漬けして水を出し、これをお酢と砂糖の甘酢に漬けます。すると赤かぶの色のもとになっているアントシアニンに酸性の酢が反応して、赤いかぶが、さらに赤く鮮やかに発色するようになります。漬けて4、5日から1週間で、鮮やかさが食欲をそそる、秋の味覚が完成。着色料も何も使わず、美しい秋の彩りを楽しんできた、山の人々の知恵がしのばれる一品です。

「オーガニック物知り事典 [あいうえオーガニック] 」は今回で最終回です。
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